もっと簡単に例の近似式を求める方法
この記事の近似式をもっと簡単に出す方法です。
導出
特技の持続時間を , 発動に要する時間を とし、 の整数部分を , 小数部分を とします。
まずは簡単のために の場合を考えます。後に の場合を考えます。
今、曲が終わって、全部で 回の発動機会があったとします(特技が発動しなかった機会や、無効発動機会も含みます)。ここで、
- 有効発動機会において特技が発動しなかった回数を
- 有効発動機会において特技が発動した回数を
- 無効発動機会の回数を
とします。このように設定することで、
となります。 が何回であったのかを調べることで、 で合計の発動時間がわかり、 (ただし は曲全体の時間)でカバー率がわかるので、以下では を求めます。
さて、有効発動機会だけに限れば、有効発動機会における特技の発動率は なので、平均的には
となります。
さて、この の発動機会たちなのですが、この中には
- 自分をカバーする特技は無効発動機会を含んでいなかった
- 自分をカバーする特技は無効発動機会を含んでいた
という2つに分かれます。
そこで、これら全ての の中から、後者の無効発動機会を含んでいたような発動機会たちを特定する必要があります。
そのために、ここで の発動機会たち一人一人に次のような質問をしていきます。
「あなたの発動機会をカバーしている特技があると思いますが、その特技の更に1個後に連続で特技は発生しましたか?」
この質問に対して、平均的には 確率 で「はい」という答えが得られます。
そして、「はい」という答えが得られた人には更に質問を続けます。
「なるほど、それでは、その連続で発生した特技は、無効発動機会を一つ含んでいましたか?」
この質問に対して、平均的には 確率 で「はい」という答えが得られます。(理由は前回の記事をご参照ください。)
以上によって、 の発動機会たちの中で、両方の質問に対して「はい」と答える発動機会の割合は です。したがって、実は である ことがわかります。
よって、
です。
これを先ほどの比と合わせると、
となります。左辺は合計して になるので、
がわかりました。
整数部分が2以上の場合
以上の場合、特技が発動すると必ず 回余分に無効発動機会が発生します。しかし、特技の発生区間中に含まれ得る発動機会は 回か 回のいずれかであることは変わりありません。
したがって、 回分余分に発生する無効発動機会を加えると、
となるので、
です。したがって、 であることは変わらないので、
となるので、
という式が得られました。
マルコフ連鎖の話との繋がり
の場合を考えます。上記の話で出てきた2つの式は、
のように表すことができます。
左辺に を、右辺に を出すために変形すると、
と書けます。
ここで なので、同じものを引いて足すことで
です。
ここで、 は「ある発動機会が である確率」と読めるので、 が言えます。したがって、両辺を で割ると
となります。 と書いて、両辺を転置すると
となります。
このようにして、今回の話は前回の記事のマルコフ連鎖の定常状態での話と繋がります。
今回の話は、この流れを逆に辿ることで導出しました。 の導出の話はややこしいのですが、マルコフ連鎖の話はその検算になっていると言えます。また、初期時刻付近での特技の発生確率についてはマルコフ連鎖のモデルの方が詳しく記述できているので、その影響の大きさを調べるためにはそちらのモデルの方が有効です。