Snow Ha凛ちゃん!

ラブライブに関するあれこれ

ラブライブ!1期7話の穂乃果の数学のテストはかなり作り込まれている!

ラブライブ!1期7話では、μ’sのメンバーはラブライブへの出場の許可をもらうため、学校の理事長に相談します。その際、出場は許可するが、μ’sのメンバーが全員次の期末試験で赤点を取らないという条件を課され、μ’sのメンバーは数学の試験のために奮闘します。

この話の最後では、穂乃果の受けた実際の数学のテストを見ることが出来ます。この数学のテストと穂乃果の解答が非常に上手く作られていて(制作の方々に敬意を贈ります!)、この時の穂乃果の解答から、穂乃果の絶妙な数学の理解具合や試験中の悩み具合を見ることが出来ます。

こちらの記事で、ラブライブ!1期7話の穂乃果の数学のテストが文字起こしされています:

ameblo.jp

以下、この記事では、問題文および穂乃果の答案は、こちらの記事で文字起こしされた問題および穂乃果の答案をベースに分析をします。

問1-(5): 合っているけど…!穂乃果の深い数学への理解、そして奮闘

まず面白いのは、問1-(5)です。ここからは、穂乃果の数学の理解具合や、試験中の悩み具合を伺うことができます。

問1-(5)は次のような問題になっています:

\( \frac{1}{2- \sqrt{3}} \)の整数部分を\( a \)、[小]1数の部分を\( b \)とするとき

(a) \( a = \fbox{ ? } \) (b) \( b = \fbox{ ? } \) (c) \( {a^2 + 4b + b^2 = \fbox{ ? }} \)

この問題に対する、穂乃果の解答は以下のようになっています。

  • (a):  3 (正解)
  • (b):  732 (不正解)
  • (c) (空欄) (不正解)

この解答において、(b)の「732」が穂乃果の絶妙な数学の理解具合、そして(c)から穂乃果の悩み具合を読み取ることができるんです!

(a)の解答

まずは、(a)の答えを導いてみましょう。

\( \frac 1 {2 - \sqrt{3}} \) の分母を有理化すると、

\( {\displaystyle \frac 1 {2 - \sqrt{3}} \ = \frac {2 + \sqrt 3} {2^2 - \sqrt{3}^2} \ = \frac {2 + \sqrt 3} {4-3} \ = 2 + \sqrt 3 }\)

となります。これを小数表現に直すと

\( 2 + \sqrt 3 = 2 + 1.73205\cdots = 3.73205\cdots \)

となるので、まず(a)は3で穂乃果の正解となります。

(b)の解答は合っている!?

さて、(b)は小数部分を答える問題ですが、よく見ると四捨五入さえすれば答えは732で合っています!!

それにも関わらず、不正解になっています。これは、この問の設問は

[小] 2数の部分を\( b \)とするとき

となっていることが理由であると考えられます。このように小数点以下第何位で四捨五入するかについて指定がない時は、\( \sqrt3 - 1 \) のような形式が正解になります3。このような理由から不正解となっていたと考えるのが最も有力でしょう。

ここからわかるのは、穂乃果は\( \sqrt 3 = 1.73205\cdots \)であることを確実に理解していて、 更に \( 3.732\cdots \) という点まで試験中に辿り着いていた ということなんです!!更に、そもそもこの式に辿り着くには、(a)を導出するための変形が行える必要があります。つまり、穂乃果は

  • 分母の有理化
  • ルートの計算
  • \( \sqrt 3 = 1.73205\cdots \)であるということ

を理解していたということになります。この時点で、かなり本質的にこの問題を解くための数学を理解していると言えるでしょう。

問6

この問題は放物線の平行移動に関する問題です。 問題文にある放物線の式は、一見正解とは全く異なるものとなっています。 実際、xとyで-2と3平行移動、入れ替えて3と-2平行移動させても、一致しません。

「これって、どんな放物線の形になるんだろう…」と思い、Google先生にグラフを描画してもらうと…………!!

f:id:snowharinchan:20181001000353p:plain

あああああーーーッ!!!これ!!x=-2と3を通る放物線じゃん!!

穂乃果は、\( (x+2)(x-3) \) という導出を行ったに違いない。

では、どうしてそのような答えに辿り着いたか?これは、2次方程式が \( (x-\alpha)(x-\beta)=0\) の形に変形できることを知っているからこそできる技なのです!!

問5: メタなネタ

問5は穂乃果のことに関してわかるわけでは無いのですが、メタなネタになっています。

その問題文はこうなっています:

職場の制作をいくつかの班に分けるのに、1班3人にすると、12人が入れない。また、1班7人にすると、最後の班だけは7人に満たないという。班の数および制作の人数を求めよ。

班の数   班, 進行の人数   人

アニメ制作のネタが入っています。

この問題は、穂乃果はいずれも空欄で答えて点を貰っていません。 そのことと問題文を合わせると、これは一見解けない問題のように見えますが、 実はちゃんと解くことができます。

その解答は以下のようになります。

班の数を\(x\)、制作の人数を\(y\)と置きます。 1班3人にすると12人が入れないことから、

\(3x+12=y\)

が言えます。また、1班7人にした場合、最後の班で不足している人数を\(z\)と置くと、

\(7x-z=y, 0<z<7\)

が言えます。これらを連立させると、

\(x = z/4+3, y=3(z+28)/4, 0<z<7\)

が言えます。\(x,y,z\)は整数であることから\(z=4\)が言えて、したがって\(x=4, y=24\)となります。

\(z\)を導入せずより高校数学風に解くならば、2番目の式を\( 7(x-1) < y < 7x \) として、\(x\)が整数であるという条件を使うのが良いでしょう。4

最後に

以上、ラブライブ!における数学の解答に関する考察でした!


  1. 冒頭で取り上げた記事で文字起こしされた結果では「少数」となっていました。

  2. [1]と同様。

  3. 詳しくは、例えば 整数部分と小数部分の意味と例題 | 高校数学の美しい物語 などを参照。このような時、小数部分の0.732…は無限小数のため、「732」では省略してしまっていて正確に表すことができません。\( \sqrt 3 = 1.732\cdots \) なので、ここから\(1\)を引くと\( \sqrt 3 - 1 = 0.732\cdots \)のように、小数部分だけを得ることができるので、これが正解となるのです。

  4. 参考: http://www.wolframalpha.com/input/?i=7(x-1)%3C3x%2B12%3C7x